山小屋の窓 vol.04夜に小屋は灯る

吉成虎維
×
miyazono spoon


2022.10.11 tue - 16 sun
明かりが灯る時間:日没から明け方頃まで

昼のひとびとが家路に着くころ
眠らぬ遊歩者が部屋を出るころ
夜。
静かに灯るショーウィンドウを
そっとのぞき込むのが好きでした。

山小屋の窓にも
ほのかな明かりが灯ります
夜。
山小屋をウィンドウディスプレイに見立て
作品の展示を行います
室内には入れませんが
外からそっとのぞいて
作品を味わっていただけたらうれしいです。


Vol 04 吉成虎維 × miyazono spoon   
 10月11日(火)〜10月16日(日)
 

展示の様子は、山小屋のインスタグラムでもご覧いただけます。

山小屋Instagram
@gallery_yamagoya

秋が深まる季節、ぜひお楽しみください。


写真:市川勝弘



吉成虎維 yoshinari torai    詩人


自作詩の実演、すなわち実演詩に取り組む、たとえば、お酒や音楽のある場や、お酒も音楽もない所で。日頃はノートを携行し、文字や絵を記録に用いる。本展「夜に小屋は灯る」の企画者のひとり。次回の催しは銀座奥野ビル306号室、11月11日。西早稲田BLAH BLAH BLAH、11月26日。

https://instagram.com/toraijp/

 

 

宮薗なつみ(miyazono spoon ) スプーン作家


茨城大学教育学部情報文化課程生活デザインコース卒業。一般企業に就職したものの、ものづくりへの想いがふくらみ、制作を再開。2011年「miyazono spoon」を立ち上げる。個展・グループ展で作品を発表するかたわら、スプーンづくりのワークショップなども各地で精力的に行っている。

http://miyazonospoon.jp/

スペシャル企画

展示作品の紹介

「山小屋の窓 夜に小屋は灯る」vol 4でご紹介するのは、吉成虎維さんとmiyazono spoonさんの作品です。2020年に山小屋で開催した企画展「7日間のスープ-miyazono spoonと器-」に出品された一本のスプーンが縁で二人は出会い、来年以降に2人展を開催する運びとなりました。本展示では、当時展示したスプーンと、それをモデルに描いた絵の連作をご紹介します。
新たな展示に向けての「予感」を届けるような展示となりそうです。会期中に、吉成虎維による詩の朗読もあるかもしれません。ぜひお楽しみに。


吉成虎維   2021

 

miyazono spoon 「wind line」   2020 

吉成虎維   2021 



「夜に小屋は灯る vol 3 ミヤギユカリ 展示風景」


山小屋の外装を作ったアーティスト、土屋洋介さんが制作した小さな家のオブジェの中に、1点だけ小作品を展示します。


スペシャル企画 02

吉成虎維さんへの3つの質問

Q1 普段どんな作品を作っていますか?

詩を書いて、読みます。それとは別で、絵を描きます。描くとき、その時々の様々を未来へ持っていきたいという思いが働きます。

詩は、声に出して実演すれば何度だって更新されますが、絵は「描き終えた!」と宣言してしまえば、詩のようには更新されません。僕の場合、実演詩は千秋楽のない興行で、描き終えた絵は再演されない一回っきりの催しです。けれど鑑賞する側に立てばむしろ逆で、実演こそが一回っきりだし、実体のある作品には千秋楽なんてなくて、見るたびに見かたが更新され続けるものですが。

Q 2 展示作品について教えてください。

身の丈ほどもあるスプーンを携えた旅行者が、町中を移動し続ける様子を描いた連作です。楽園を探しさまよう愚者か、はたまたよくいる遊歩者か。温かく安全な自室に留まることをせず、ひどく寒い外の世界へ出かけることした旅行者は、食べることや生きることへの執着なのか、大きなスプーンを大事そうに離さない。

絵の中のスプーンのモデルは、宮薗なつみさん制作の"wind line"。2020年12月、山小屋での展示(※1)で最後の最後に出品された一本と僕は出逢い、この連作がはじまりました。実直な生活道具でありながら"wind line"の持つ線は、今いるここを飛び去る何かのようです。

会期中、絵は毎日めくられて新たに物語をつむぎます。宮薗さんのスプーンも毎日ここにあります。もちろん、風をまとってふわりと浮いて、夜の彼方へ飛び去ってしまわぬ限りは・・・。

※1 2020年に開催した山小屋の企画展「7日間のスープ -miyazono spooonと器-」

Q 3 今、大事にしたいことはなんですか?

快速電車よりも、各駅停車に乗ることです。比喩でも何でもなく、大荷物でも気楽だしノートを開いてもさほど隣が気にならない。少しだけ早く出発できるならそうしたいです。馬は農耕馬に惹かれるし、東海道にしても、こだまに乗りたいです。間を取るならひかりかな。

スペシャル企画 03

miyazono spoonさんへの3つの質問

Q1 普段どんな作品を作っていますか?

木のスプーンを作っています。

老若男女、誰もが何気なく使っているスプーン。
『スプーンにも人それぞれ持ち方がある』と気付いてから、
スプーンの魅力にはまり、
様々なシーンやたべものに合わせたスプーンを作るようになりました。

"こんなスプーンがあったらいいな"というスプーンを作るように心がけています。

Q2     展示作品について教えてください。

"wind line"という名前のスプーンです。
風の線が見えたらどんな線だろう。と。
毎回フリーハンドで線を描いているので、同じものがないシリーズです。

2020年、春。
外出がなかなかできないときに、
作業場からお庭を見て、
揺れる木々や草を見ながら、
ふと、思い付いた作品です。

その後、風のようにふわりと、まるでスプーンに意思があったかのように、虎維さんの元へ旅立ちました。

Q3 今、大事にしたいことはなんですか?

『心地よさ』です。

スプーンそのものの心地よさ。もそうですし、
自分がスプーンを制作しているときも眉間にシワがよらないことも、そうです。

どこに行きたい、
誰と過ごしたい、
何を食べたい、
何をしたい、、、
日々の暮らしの小さなことでも、心地よく、楽しくいられるように、と思っています。

主催:MOVE Art Management
企画:新谷佐知子+吉成虎維