ミカラデタサビAi Akiyama Exhibition
12月8日(木) - 14日(水)
13:00-19:00
『ミカラデタサビ』 は昨年末に構想した展覧会のタイトルで、決められた企画のための絵ではなく自分の奥底から出てくる何かを表現するための絵を描きたい、1年もあればじゃんじゃん溢れ出てくるであろう創造力をシンプルにアウトプットした展示がしたい、そう妄想した時に浮かんだ言葉。
何にも出てこなかった。
思い描いたことがひとつも出来なかった。
スランプなのかもしれない、私。
映画監督の伊丹十三は生前に「私はからっぽの器である」みたいなことを言っていた。どこかで見たドキュメンタリーで奥様の宮本信子さんが尊敬の意を込めて語っている姿が美しかった。「からっぽ」といっても、これから満ち溢れるはずの創造力をうけいれるための「からっぽの器」であって、かっこいい方のヤツだ。
私の2022年はからっぽにするための器すら見当たらない、そんな年であった。企画していたあれこれがホロホロとくずれていく感じは、握りたてのおにぎりみたい。口にする前に手の中でバラバラになって、あちこちにひっついてしまう。
ミカラデタサビ、そういう意味では今の自分になんだかちょうど良い。
2022年12月某日
秋山あい
秋山あいアーティスト
1973年、東京生まれ。女子美術大学付属高等学校を卒業後、1993年にフランスに渡る。1999年ボルドー・エコール・デ・ボザールにてDNSEP(国家学位修士号)を取得、卒業。その後パリを拠点に活動し、2021に日本へ完全帰国、東京を拠点に創作活動と作品発表を行う。
個々の暮らしや風俗を観察することで、今を生きる人々の物語を覗き見ようとする「考現学的視点」をテーマに、日常生活のモノや出来事、建物などのドローイングを多く描く。またフォント作品を使ったイラストレーションなども行なっている。